集中できない・頭がボーッとする…その「脳の霧」は腸から来ている?– 頭に霧がかかる「ブレインフォグ」と腸の炎症 –

【免責事項】
本記事は、公的機関および査読付き学術論文により報告されている情報を整理したものです。特定の疾患の診断や治療を目的とするものではありません。急激な認知機能の低下や激しい頭痛がある場合は、必ず脳神経外科等の医療機関にご相談ください。

「十分に寝ているはずなのに、頭に霧がかかったようにスッキリしない」「言葉がすぐに出てこない」。
このような症状はブレインフォグ(脳の霧)Brain Fog。思考力や集中力が低下し、頭がぼんやりとする状態の総称。医学的には認知機能障害の一種として扱われることがある。と呼ばれます。単なる疲れや気分の問題と思われがちですが、近年の医学研究により、その原因の一つとして「腸のバリア機能の破綻」と、それに伴う「脳の炎症」が深く関わっていることが明らかになってきました。

1. 腸のバリアが壊れる「リーキーガット」現象

私たちの腸の内側には、栄養素だけを取り込み、有害物質をブロックするための精密なバリアが存在します。このバリアの開閉をコントロールしているのがゾヌリンZonulin。腸の上皮細胞同士をつなぐ「タイトジャンクション」を調整するタンパク質。という物質です。

小麦と細菌がスイッチを押す

最新の研究レビューによると、小麦に含まれるタンパク質「グリアジン」や、腸内細菌のバランスの乱れが、このゾヌリンの過剰放出を招くことが分かっています。
ゾヌリンが大量に出ると、腸の細胞同士の結びつき(タイトジャンクション)がほどけ、隙間ができてしまいます。これが「リーキーガット(漏れる腸)」と呼ばれる状態です。[1]出典:Frontiers in Immunology (Intestinal permeability, food antigens…)
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毒素が全身へ巡る

腸の隙間からは、本来排除されるべき細菌の毒素(LPS)などが血流に漏れ出します。これが全身に広がることで、体内で慢性的な炎症(代謝性内毒素血症)が引き起こされます。[2]出典:PMC (Gut permeability and neuroinflammation)
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2. 腸が漏れると、脳も漏れる?

驚くべきことに、脳を外部の物質から守っているバリア「血液脳関門(BBB)」も、腸と同じような構造で守られています。

連鎖するバリア崩壊

血流に乗って全身を巡ったゾヌリンや炎症物質は、脳のバリアにも作用します。研究では、血清ゾヌリン濃度が高いほど、脳のバリア機能も低下している可能性が示唆されています。
その結果、炎症物質が脳内へ侵入し、脳の神経細胞に微細な炎症(神経炎症)を引き起こします。これが「思考の霧」の正体であると考えられています。[3]出典:PMC (Leaky Gut, Leaky Brain?)
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3. ブレインフォグの客観的証拠

「頭がボーッとする」という訴えは、これまで主観的なものとして扱われがちでした。しかし、脳波を使った実験で、その生理学的な異常が証明されています。

脳の処理速度が低下している

非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)セリアック病やアレルギーではないが、グルテン摂取により体調不良を起こす疾患。の患者を対象とした研究で、グルテン摂取時と除去時の脳波を比較したデータがあります。

グルテン摂取時(ブレインフォグ状態)には、認知処理能力を示す脳波「P300」の振幅が正常範囲の下限(7.7 μV)まで低下していた。
一方、グルテンを除去して症状が改善した状態では、振幅が有意に回復(12.5 μV)した。 出典:PMC (Assessing Gluten-Induced Brain Fog…) [4]出典:PMC (Assessing Gluten-Induced Brain Fog in a Non-celiac Patient)
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この結果は、ブレインフォグが単なる気分の問題ではなく、実際に脳の情報処理機能が物理的に低下していることを示しています。

4. 腸を修復すれば脳もクリアになるか

腸のバリアを修復することで、脳の症状が改善することを示唆する臨床試験も行われています。

腸の隙間を閉じる薬の効果

腸のタイトジャンクションを閉じる作用を持つ治療薬(ララゾタイド酢酸塩)を用いた臨床試験では、腸の症状だけでなく、「頭痛」や「倦怠感」といった全身の症状も有意に減少することが報告されています。[5]出典:ResearchGate (Results of a Multicenter, Randomized, Placebo Controlled Trial)
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これは、腸の壁をしっかり閉じて毒素の漏れを防ぐことが、脳のクリアさを取り戻す鍵になる可能性を強く支持するデータです。

5. 対策とまとめ

慢性的な集中力低下やブレインフォグを感じる場合、脳だけでなく「腸」に目を向けることが重要です。

  • グルテンフリーを試す: NCGSの可能性がある場合、一定期間(2週間〜6週間程度)小麦製品を控えることで、腸と脳のバリア機能が回復する可能性があります。
  • 腸内環境を整える: 有用な菌(プロバイオティクス)やそのエサ(プレバイオティクス)を摂取し、ゾヌリンを刺激する悪玉菌の増殖を抑えることも有効とされています。

参考文献・出典

  • [1] Intestinal permeability, food antigens and the microbiome. Frontiers in Immunology/Allergy, 2024.
  • [2] Gut permeability and neuroinflammation. PMC, 2024.
  • [3] Leaky Gut, Leaky Brain? PMC.
  • [4] Assessing Gluten-Induced Brain Fog in a Non-celiac Patient. PMC, 2025.
  • [5] Larazotide Acetate… Results of a Multicenter, Randomized, Placebo Controlled Trial. ResearchGate, 2015.
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