喉の「イガイガ・詰まり感」が治らない…その原因は小麦と胃液?– 喉の違和感・イガイガの正体:隠れた逆流とアレルギー –

【免責事項】
本記事は、公的機関および学術論文により報告されている情報を整理したものです。特定の疾患の診断や治療を目的とするものではありません。嚥下困難(物が飲み込みにくい)や体重減少などの症状がある場合は、必ず消化器内科や耳鼻咽喉科にご相談ください。

「風邪でもないのに、喉がイガイガする」「喉の奥に何かが詰まっている感じがする」。
こうした慢性的な喉の不調は、ストレスや気のせい(咽頭神経症)として片付けられがちですが、実は消化器系の問題が隠れているケースが増えています。

近年、特に注目されているのが、食道にアレルギー性の炎症が起きる好酸球性食道炎(EoE)Eosinophilic Esophagitis。特定の食物抗原などが原因で、食道に好酸球(白血球の一種)が集まり、慢性的な炎症を起こす疾患。と、胃液が喉まで上がってくる咽喉頭逆流症(LPR)Laryngopharyngeal Reflux。胃酸やペプシンが食道を超えて咽頭や喉頭まで逆流し、炎症を起こす病態。胸焼けを感じないことも多い。です。[1]出典:PMC (Laryngopharyngeal reflux disease: Updated examination)
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1. 胸焼けのない「沈黙の逆流」が喉を焼く

胃液の逆流というと「胸焼け」をイメージしますが、喉の症状だけが出るタイプ(Silent Reflux)が存在します。これは食道と喉の「防御力」の違いによるものです。

喉は酸に弱い

食道は胃酸に対してある程度強い構造をしていますが、喉の粘膜は非常にデリケートです。研究によると、食道は1日50回の逆流に耐えられるのに対し、喉の粘膜は「週に3回の逆流」でもダメージを受けるとされています。[2]出典:NIH / PMC (Laryngopharyngeal Reflux: Diagnosis, Treatment…)
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そのため、本人が「胸焼け」を感じないレベルの微量な逆流であっても、喉には「イガイガ」「声がれ」「咳払い」といった炎症症状を引き起こしてしまいます。

ペプシンの細胞破壊

さらに厄介なのが、胃液に含まれる消化酵素「ペプシン」です。ペプシンは喉の細胞内に取り込まれ、酸性の飲み物や食べ物を摂った時に再活性化して、細胞を内側から傷つけます。これが長引く違和感の原因となります。[3]出典:NIH / PMC (Laryngopharyngeal Reflux)
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2. 急増する「好酸球性食道炎」と小麦

もう一つの可能性として、欧米を中心に急増し、日本でも注目されているのが「好酸球性食道炎(EoE)」です。これは食道の「アレルギー」とも言える病気です。

主な原因は「牛乳」と「小麦」

EoEは、特定の食べ物が引き金となって食道に炎症細胞(好酸球)が集まり、食道が硬くなったり狭くなったりします。成人の場合、初期症状として「喉の詰まり感」や「飲み込みにくさ」が現れることがあります。[4]出典:NIH / PMC (Hydrolyzed wheat protein…)
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多数の研究データを統合したレビューによると、この病気の原因抗原として最も頻度が高いのは「牛乳(約50-60%)」と「小麦(約30-60%)」です。[5]出典:NIH / PMC (Eosinophilic Esophagitis From an Allergy Perspective)
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一般的な即時型アレルギー(食べてすぐ蕁麻疹が出るタイプ)とは異なり、ゆっくりと炎症が進むため、血液検査では原因が特定しにくいのが特徴です。

3. 診断と治療のポイント

喉の違和感が続く場合、耳鼻科だけでなく消化器内科での検査が重要になることがあります。

内視鏡検査と生検

好酸球性食道炎の確定診断には、胃カメラ(内視鏡)で食道の組織を少し採取して調べる「生検(バイオプシー)」が必須です。見た目がきれいでも、組織レベルで炎症が起きていることがあるためです。[6]出典:Journal of Neurogastroenterology and Motility
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食事療法(2種除去)

薬物療法と並んで有効なのが、原因食物の除去です。最新のガイドラインでは、まずは原因となる確率が高い「小麦と牛乳」の2つを完全に除去する食事療法(2-FED)が、負担が少なく効果的なアプローチとして推奨されています。[7]出典:MDPI (Dietary Strategies in Adult Patients with Eosinophilic Esophagitis)
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4. 「ゆるやか」な実践へのアドバイス

喉の不調を和らげるために、今日からできる対策です。

  • 食べてすぐ寝ない: 逆流を防ぐため、就寝3〜4時間前には食事を済ませましょう。
  • 酸性のものを控える: 炭酸飲料や柑橘類は、喉に付着したペプシンを活性化させるため、症状がある時は控えめに。
  • 小麦・乳製品を一時オフ: 医師と相談の上、数週間程度パン、パスタ、牛乳などを控えてみて、喉の詰まり感が変化するか観察してみるのも一つの方法です。

参考文献・出典

  • [1] Laryngopharyngeal reflux disease: Updated examination… PMC, 2025.
  • [2] Laryngopharyngeal Reflux: Diagnosis, Treatment, and Latest Research. NIH / PMC.
  • [3] Laryngopharyngeal Reflux. StatPearls / NCBI.
  • [4] Hydrolyzed wheat protein wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis. PMC, 2017.
  • [5] Eosinophilic Esophagitis From an Allergy Perspective. NIH / PMC.
  • [6] When Will My Esophagus Be Fixed? Journal of Neurogastroenterology and Motility.
  • [7] Dietary Strategies in Adult Patients with Eosinophilic Esophagitis. MDPI, 2023.
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