グルテンは、小麦などに含まれるタンパク質の一種で、パンやパスタなどの食感や膨らみに重要な役割を果たしています。以下に、グルテンの特徴と働きをわかりやすくまとめました。
- グルテンはタンパク質の一種
小麦・大麦・ライ麦などに含まれ、水を加えてこねることで生成される。 - 主な構成要素は「グルテニン」と「グリアジン」
この2種類が絡み合うことで、粘り気と弾力のある「網目構造」が生まれる。 - パンの膨らみやモチモチ感の源
生地に気泡を閉じ込める働きがあり、焼いたときのふっくらした食感を生み出す。 - 麺類のコシの正体もグルテン
うどんやパスタの弾力のある食感はグルテンによるもの。 - 多くの小麦製品に含まれる
グルテンは小麦を原料とする食品にほぼ必ず含まれているため、注意が必要。
グルテンが体に与える影響とは?
グルテンを含む食品は美味しく魅力的ですが、体質や摂取量によっては不調の原因になることもあります。以下に、グルテンの体への影響をまとめました。
- 消化に時間がかかることがある
パンやパスタ、うどんなどの小麦製品は、胃もたれやお腹の張りを感じやすい人も多くいます。 - 腸に負担をかける可能性
グルテンが腸の働きを妨げ、消化不良を引き起こすことがあるとされています。 - 過剰摂取による中毒性や依存性も
パンや麺類をついつい食べ過ぎてしまう傾向があり、血糖値の急上昇や肥満の原因になる場合も。 - 小麦アレルギー
グルテンを含む小麦のタンパク質に免疫が反応し、じんましんや腹痛などの症状が出るため、小麦の除去が必要。 - セリアック病(グルテン腸症)
グルテンに対する自己免疫反応により小腸が傷つき、栄養の吸収障害など深刻な症状を引き起こす。日本では稀だが欧米では約1%の発症率。 - 非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)
アレルギーやセリアック病ではないが、グルテンで頭痛や倦怠感、肌荒れなどが起こることがある。原因は未解明だが、グルテン除去で改善する例も。
なぜ今「グルテンフリー食」が注目されているのか?
もともとはアレルギー疾患への対応食だったグルテンフリーが、今では美容や健康を意識する多くの人々に選ばれる食スタイルとなっています。注目される背景を以下にまとめました。
- 元々は医療的な食事法からスタート
セリアック病や小麦アレルギーの患者のために発展した治療食。 - 欧米での普及が進んだ背景
セリアック病の患者数が多く、スーパーやレストランで「Gluten Free」の表示が一般的に。 - 海外セレブやアスリートの実践が話題に
ミランダ・カー、ジョコビッチ、グウィネス・パルトローなどが体調改善や美容効果を実感と発信。 - 日本でも有名人の影響が拡大
ローラや長澤まさみといった著名人がグルテンフリーを取り入れ、「調子が良くなった」と話題に。 - 健康・美容・ダイエット志向の広がり
「小麦を抜くと身体が軽くなる」「肌の調子が整う」といった声が支持を集めている。 - 対応食品や飲食店の増加
米粉パン専門店やグルテンフリースイーツを提供するカフェなど、選択肢が広がっている。 - 「なんとなく体に良さそう」で試す人も増加中
食トレンドとしてグルテンフリーが浸透し、日常的な選択肢のひとつに。
グルテンフリー生活を始めるためのポイントと注意点
健康や美容のためにグルテンフリーを始めたいと考える人が増えていますが、間違ったやり方では逆効果になることもあります。無理なく、そして自分の体質に合った取り入れ方が大切です。
- 完全除去が必要なのは一部の人だけ
セリアック病や小麦アレルギーの方は医師の指導のもとで厳格な除去が必要。 - 一般の人が小麦を一気にやめるのはリスクも
食物繊維などの栄養が不足し、お腹の不調を招くこともある。 - 「グルテン=悪」ではない
むやみに恐れるのではなく、あくまで“体質との相性”を意識することが重要。 - 短期間のお試し期間がおすすめ
2週間ほど小麦を控えて体調の変化を観察し、自分に合うか見極める。 - 無理なく“ゆるく”始めるのがコツ
例:朝食のパンをおにぎりに、パスタを米粉や豆の麺に替えてみるなど。 - 米粉製品が増えているので取り入れやすい
最近では米粉でも美味しいパンやスイーツが作れるようになり、専門店も増加中。 - 柔軟なスタイルで継続を
「平日は控えて週末は好きなパスタを楽しむ」など、ストレスのない取り入れ方を。
グルテンを含む食品・含まない食品の具体例
グルテンを避けたい方にとって、どの食品にグルテンが含まれているのか、そしてどの食品なら安心なのかを知っておくことはとても重要です。以下に代表的な例をまとめました。
■グルテンを含む主な食品
- 主食類
パン、パスタ、うどん、ラーメン、ピザなど小麦粉を使用したもの - 粉もの料理
お好み焼き、たこ焼き、餃子の皮など - 洋菓子類
ケーキ、クッキー、ドーナツなど - 一部の調味料や加工食品
カレールウ、シチューのルウ、しょうゆ、ドレッシングなど
※「隠れグルテン」に要注意! - 麦を原料とする飲料
ビール、麦焼酎など
※厳密にグルテンを避けるには、原材料表示のチェックが必須です。
■グルテンを含まない食品(グルテンフリー)
- 穀類・主食
白米、玄米、米粉パン、米粉麺(ビーフン、フォーなど) - トウモロコシ製品
コーンフレーク、トルティーヤなど - イモ類・でんぷん製品
じゃがいも、さつまいも、片栗粉、春雨など - 豆類・ナッツ類
豆腐、きな粉、納豆、アーモンドなど - その他の自然食品
野菜、果物、肉、魚、卵、乳製品など - そば粉100%の蕎麦(十割そば)
※一般的な蕎麦(二八そばなど)には小麦が含まれるため注意
グルテンは決して“悪者”ではありませんが、人によっては控えることで体調が整うこともあります。まずは身近な食品を見直しながら、自分に合ったスタイルで“ゆるやか”にグルテンフリーを取り入れてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
築野食品工業株式会社:「グルテンフリーとは?食品の見分け方や注意点をご紹介」 (2021)
ニップン栄養情報サイト:「グルテンフリーとグルテンフリー食品が必要な人」 (2023)
福岡天神内視鏡クリニック:「パンは消化が悪いって本当?小麦が与える腸への影響」
LIXIL 住み人オンライン:「米粉でおいしく『グルテンフリーダイエット』にチャレンジ!」
出雲そば本田屋:「グルテンフリーを実践している芸能人は?やり方もご紹介!」
ベーカリスタ株式会社:「大切な人の食物アレルギーによりそう。(小麦アレルギーコラム)」

