原因不明の肌荒れ・かゆみ…皮膚は「腸の鏡」だった?– 原因不明の肌荒れと「腸皮膚相関」の科学 –

【免責事項】
本記事は、公的機関および査読付き学術論文により報告されている情報を整理したものです。特定の疾患の診断や治療を目的とするものではありません。難治性の皮膚症状がある場合は、必ず皮膚科専門医にご相談ください。

「スキンケアを変えても肌荒れが治らない」「原因不明のかゆみが続く」。
皮膚科での治療に抵抗性を示すこうした症状の背景に、実は「腸内環境」が深く関わっている可能性が、近年の医学研究で明らかになりつつあります。

医学界ではこれを腸皮膚相関(Gut-Skin Axis)Gut-Skin Axis。腸内細菌叢や腸のバリア機能が、免疫系や代謝産物を介して皮膚の健康状態に影響を与えるという双方向性の関連性。と呼び、皮膚を単なる「体の表面」ではなく「全身の免疫・代謝の鏡」として捉え直す動きが進んでいます。[1]出典:PMC (Gut-skin axis: Emerging insights…)
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1. 腸から漏れ出す「毒素」が肌を攻撃する

なぜ、お腹の中の問題が肌に現れるのでしょうか? その鍵を握るのが、「腸のバリア機能」です。

代謝性エンドトキシン血症

腸の壁(バリア)が緩んで隙間ができる状態(リーキーガット)になると、本来は排出されるべき細菌の毒素であるリポ多糖(LPS)Lipopolysaccharide。グラム陰性菌の細胞壁成分。別名エンドトキシン。血液中に入ると炎症を引き起こす。が血液中に漏れ出します。
血流に乗ったLPSは皮膚に到達し、皮膚の細胞を刺激して炎症を引き起こします。実際に、重症のニキビや乾癬(かんせん)の患者の血液中では、健康な人と比べてこの毒素(LPS)の濃度が高いことが複数の研究で報告されています。[2]出典:PMC (Gut permeability and neuroinflammation)
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2. グルテンと「原因不明の湿疹」

パンやパスタに含まれる小麦タンパク質「グルテン」も、特定の体質の人においては肌荒れのトリガーとなることが分かっています。

2つのメカニズム

  • 非セリアック・グルテン過敏症(NCGS): アレルギー検査で陰性でも、グルテン摂取によって不調が出るこの病態では、約18〜29%の患者に「湿疹」や「かゆみ」などの皮膚症状が現れると報告されています。[3]出典:MDPI (Non-Coeliac Wheat Sensitivity)
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  • 分子模倣(交差反応): グルテンに対する抗体が、皮膚の成分を「敵」と間違えて攻撃してしまう現象です。典型例である「疱疹状皮膚炎」では、グルテンへの免疫反応が皮膚に激しい水疱とかゆみを引き起こします。[4]出典:Frontiers in Immunology (Dermatitis Herpetiformis)
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3. ニキビ・乾癬と「菌の乱れ(ディスバイオシス)」

腸内細菌のバランス(マイクロバイオーム)の乱れは、特定の皮膚疾患と強くリンクしています。

疾患ごとの特徴

最新の遺伝子解析技術により、皮膚トラブルを持つ人の腸内には特徴的な傾向があることが分かってきました。

  • ニキビ(尋常性ざ瘡): 腸内細菌の多様性が低下しており、有益な菌が減少している傾向があります。高GI食(糖質)によるインスリン分泌が皮脂の過剰生産を招くプロセスにも、腸内環境が関与しています。[5]出典:Acta Dermato-Venereologica
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  • 乾癬(Psoriasis): 血液中から腸内細菌由来のDNAが検出される頻度が高く、腸のバリア破綻(バクテリアル・トランスロケーション)が起きている物理的な証拠とされています。[6]出典:Frontiers in Medicine (Blood Metagenome in Health and Psoriasis)
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4. 「ゆるやか」な実践へのアドバイス

皮膚科の治療と並行して、内側からのケアを取り入れる際のポイントです。

  • 食事の記録をつける: 小麦製品や高脂質な食事を摂った翌日に肌が荒れるか、観察してみてください。
  • プロバイオティクス: 乳酸菌などの整腸剤がニキビ治療の補助として有効である可能性を示す研究もありますが、日本皮膚科学会のガイドラインではまだ「推奨」までは至っていません。あくまで補助的なケアとして捉えましょう。[7]出典:日本皮膚科学会 (尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023)
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  • グルテンフリー: 原因不明の湿疹が続く場合、試験的に2週間程度小麦を控えて変化を見ることも、診断の一助となる場合があります。

参考文献・出典

  • [1] Gut-skin axis: Emerging insights for gastroenterologists. PMC, 2025.
  • [2] Gut permeability and neuroinflammation. PMC, 2024.
  • [3] Non-Coeliac Wheat Sensitivity: Symptoms in Search of a Mechanism. MDPI, 2025.
  • [4] Dermatitis Herpetiformis: Novel Perspectives. Frontiers in Immunology, 2019.
  • [5] Patients with Acne Vulgaris Have a Distinct Gut Microbiota… Acta Dermato-Venereologica.
  • [6] Blood Metagenome in Health and Psoriasis. Frontiers in Medicine, 2020.
  • [7] 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023. 日本皮膚科学会.
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