グリーンスムージーの落とし穴|「砂糖不使用」と果糖の真実

「健康のために」と毎朝飲んでいるグリーンスムージーやベジタブルジュース。野菜由来でヘルシーなイメージですが、その「糖分」について意識したことはありますか。本記事は公的機関・学術論文をもとに事実を整理したものです。なお、肝機能などに不安のある方や症状が深刻な場合は、自己判断せず医師にご相談ください。

目次

結論:問題は「砂糖」ではなく「果糖(フルクトース)」の量

  • 果糖はブドウ糖血糖値を上げ、インスリンによって全身の細胞でエネルギーとして使われる糖。と代謝経路が異なり、主に肝臓で処理されることが報告されています [1]出典:Joslin Diabetes Center / Harvard Medical School
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  • 「砂糖不使用」表示でも、原料の果物・野菜由来の果糖は規制の対象外である可能性があります [8]出典:消費者庁
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  • 市販のグリーンスムージーには、1本でWHOの1日上限に近い糖類を含む製品も見られます [10]出典:カゴメ株式会社
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果糖とブドウ糖は「処理される場所」が違う

同じ「糖」でも、ブドウ糖と果糖では体内での扱われ方が異なることが研究で示されています。果糖はインスリン血糖値を調整するホルモン。果糖の代謝には直接関与しないとされる。に依存せず、主に肝臓で代謝され、DNL(新規脂肪合成)De Novo Lipogenesis。肝臓で糖から脂肪を新たに合成する仕組み。を促進することが報告されています [1]出典:Joslin Diabetes Center / Harvard Medical School
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液状で大量の果糖を摂取すると、肝臓の脂肪化(NAFLD非アルコール性脂肪性肝疾患。飲酒に起因しない脂肪肝。)や血中中性脂肪の上昇につながる可能性が指摘されています [2]出典:Journal of Clinical Investigation / Hannou et al.
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。固形の果物と違い、ジュースやスムージーは果糖が液状で素早く吸収される点が、固形摂取との違いとして示唆されています。

「砂糖不使用」表示の落とし穴

消費者庁の食品表示基準では、「砂糖不使用」と表示できる条件は「製造工程で糖類を添加していないこと」とされています [8]出典:消費者庁
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。つまり、果物・野菜の原料由来の糖は「砂糖不使用」表示の対象外になり得るということです。

「砂糖不使用」表示の条件は、製造工程で糖類を添加していないこと。原料由来の糖はこの限りではない。出典:消費者庁 食品表示基準

実際、独立行政法人 国民生活センターの調査では、「砂糖不使用」とされる野菜系飲料38銘柄でも100gあたり糖類が平均6.5g・最大9.5gと、消費者庁の「低糖」基準(2.5g/100ml)を大きく超えるものが報告されています [7]出典:独立行政法人 国民生活センター
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実際のデータ:1本にどれくらいの糖類が入っているのか

項目 数値 目安
市販グリーンスムージー(330ml)の糖類 [10]出典:カゴメ株式会社
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約24.7〜27.8g 角砂糖 約6〜7個分
WHO 1日の遊離糖類の上限目安 約25g これ1本でほぼ到達
「砂糖不使用」野菜系飲料の糖類(100gあたり)[7]出典:国民生活センター
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平均6.5g/最大9.5g 「低糖」基準2.5gを超過

糖入り飲料(SSB)と肝疾患の関連はアジア人データでも示唆されています。韓国の40〜64歳8,310名の調査では、週3回以上の摂取でMASLD代謝機能障害関連脂肪性肝疾患。NAFLDの新しい呼称。発症のオッズ比が1.36(95%CI: 1.02-1.81)と報告されています [3]出典:Korea Disease Control and Prevention Agency / Cho et al.
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。15研究・65,149名のメタ解析でも、添加フルクトースとNAFLDの相関(OR=1.31)が示され、アジア人集団で特に強い傾向が報告されています [5]出典:Frontiers in Nutrition / Li et al.
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。日本人NAFLD患者77名の調査でも、果物・菓子類の摂取が有意に高い傾向が示されています [6]出典:Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition / Tajima et al.
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腸活している人ほど気にしたい「リーキーガット」

果糖の過剰摂取は、腸の細胞をつなぐタイトジャンクション腸の細胞同士を密着させ、不要な物質の侵入を防ぐ結合部。のタンパク質(ZO-1・オクルディン・クローディン)を損なう可能性が報告されています。これにより腸のバリア機能が低下する「リーキーガット腸壁の透過性が高まり、本来通さない物質が血中に漏れ出す状態。」が起こり、LPS腸内細菌由来の内毒素。血中への流入が炎症を引き起こすとされる。の流入から肝臓の炎症へ進行する経路が示唆されています [4]出典:NIH / Cho et al.
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。腸内環境を整えたい方ほど、果糖の「量」に注意する意義があると考えられます。

では、どう選べばいい?

過度に怖がる必要はありませんが、以下のポイントを押さえると選びやすくなります。

  • 「糖類」欄を必ず見る:「砂糖不使用」より、栄養成分表示の糖類のグラム数を確認する。原料由来の糖は表示名では分かりません [8]出典:消費者庁
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  • 原材料名をチェック:「果糖ぶどう糖液糖」「高果糖液糖」などの異性化液糖果糖含有率により法的に分類される液状の糖。JAS規格で定義される。表記に注目する [9]出典:農林水産省 JAS 0208:2024
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  • 「飲む」より「食べる」:固形の野菜・果物は食物繊維とともに摂れ、吸収がゆるやかになる可能性があります。
  • 1本=デザート感覚で:330mlで角砂糖6〜7個分に相当する製品もあるため、水分補給ではなく嗜好品として量を意識する [10]出典:カゴメ株式会社
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まとめ

  • 果糖はブドウ糖と代謝経路が異なり、肝臓での脂肪合成を促す可能性が報告されている [1]出典:Joslin Diabetes Center / Harvard Medical School
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  • 「砂糖不使用」は原料由来の糖を含まない保証ではない [8]出典:消費者庁
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  • 確認すべきは表示の言葉ではなく、成分表示の「糖類」のグラム数

次にスムージーを手に取るとき、ぜひ成分表示の「糖類」欄を確認してみてください。この記事を保存して、お買い物前に見返していただけると役立つはずです。なお本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。体調や肝機能に不安がある場合、症状が深刻な場合は必ず医師にご相談ください。

  1. Softic et al. (2016) Role of Dietary Fructose and Hepatic De Novo Lipogenesis in Fatty Liver Disease, Joslin Diabetes Center / Harvard Medical School. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26856717/
  2. Hannou et al. (2018) Fructose metabolism and metabolic disease, Journal of Clinical Investigation. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5622741/
  3. Cho et al. (2023) Sugar-sweetened beverage consumption and MASLD (KNHANES), Korea Disease Control and Prevention Agency. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12531465/
  4. Cho et al. (2021) Fructose ingestion causes protein nitration of intestinal tight junction proteins, NIH. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6783321/
  5. Li et al. (2023) Meta-analysis: major foods with added fructose and NAFLD, Frontiers in Nutrition. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37291946/
  6. Tajima et al. (2016) Dietary intake in Japanese with NAFLD and type 2 diabetes, Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5110943/
  7. 独立行政法人 国民生活センター (2011, 2020改訂)『野菜系飲料の糖分テスト』. https://www.do-syouhi-c.jp/test/kira106yasaikeiinnryounotoubun.pdf
  8. 消費者庁 (2024/2025)『食品表示基準における栄養成分表示及び栄養強調表示』. https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/
  9. 農林水産省 (2024)『JAS 0208:2024 異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖』. https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-366.pdf
  10. カゴメ株式会社 (2024閲覧)『野菜生活100 Smoothie グリーンスムージー 栄養成分』. https://www.kagome.co.jp/products/drink/A7440/
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葛西 利昭のアバター 葛西 利昭 編集長

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